家畜の競り市
テキサスは恐らく全米でも最も家畜の競り市が盛んなところである。例えば牛の頭数は全米一でダントツの1200万頭(二位ネブラスカ州はその半分の580万頭、日本全体では440万頭。従って如何にテキサスに牛が多いかが分かる)だからむべなるかなである。州内には250余の日本的に言う「郡」があり、その殆どで毎週1~2回定期的に市が開かれる。アメリカ人でさへ殆ど見たことのない、従ってありきたりの観光旅行では絶対に見られない光景ではある。
過日牧場から30分ほどのところで今年最後の大きな競り市が開催されたので行ってきた。お祭りも兼ねてBBQはフリーで食べ放題だったので美味しくて、正直食べ過ぎた。(笑い)そこはまさにカウボーイのメッカとも言うべきか?!右を見ても左を見てもカウボーイハットにジーンズ、カウボーイブーツのオンパレード。これぞ現代版「大いなる西部」であり、ジョンウエィンの世界にタイムスリップしたような幻想に襲われた。早口のアナウンサーががなり立てているのが印象的だったが、何を言ってるのかさっぱり分からなかった。築地の魚市場と似て非なるもの、魚と違って相手は大きく荒っぽい牛達、でも何らの問題もなくせりを流れるようにさばいて行くそのシステムは誠興味の尽きないものであった。
私のところは趣味の牧場にて毎年20頭前後の子牛をここに運んできてセリに出しさばいてもらう。でも自分の牧場で育った連中だからある種、愛着はある。しかし、その後彼らが何処の牧場へ売られて行くのか、はたまた最悪屠殺場へ直行するのか知る由もない。この世の中、「知らない幸せ」と言うのも沢山あるという事をつくづく思い、少々複雑な気持ちで帰路のハンドルを握った。