乳牛の飼育は、世界のどこへ行っても概ね似たようなものであるが、肉牛飼育は千差万別である。とりわけ日本での狭い厩舎でのそれとアメリカでの放牧とは根本的な違いがある。日本ではトウモロコシ等の飼料主体で時々は草を喰ませる。こちらは殆どが放牧、読んで字の如く牧場に牛を放って飼育するから「放牧」なのである。基本的に厩舎などない。ただ和牛のような高級ビーフを飼育するところはやはり厩舎を持ち、一生懸命飼料を与えあれこれと面倒をみる。だからその重労働分もコストに跳ね上がってくるから必然的に肉の値段もお高くなるのである。
こちらの牧場での二大仕事は広い地域のフェンスの維持管理と健全な牧草を繁殖させること。(もちろんラウンドアップとか牛の健康管理等の仕事はあるが、それはカウボーイの友達がヘルプしてくれる。)従って鋭い刺のあるハニーローカストの駆除は大仕事である。時にトラクターのタイヤをパンクさせたり、牛が干し草ロールを食べにくい、等とても厄介な代物である。大きな牧場では機械で農薬散布するが、幸い当牧場では群集地域が限定的なのでマニュアルで済ました。それでも大変な仕事ではあったが、これで今冬の干し草が何とか確保出来たので正直ホッとしている。